ムラケンの小部屋(ブログ)

2026.10.16

1回で結果が出なかった症例。施術って、いつも劇的にうまくいくわけではありません

こんにちは。ムラケンはりきゅう整骨院です。
施術の数だけドラマがある。
今日も人体の旅を続けていきましょう!!

今回は、
「こんな施術をしたら、こんなに良くなりました!」
という話ではありません。
むしろ、その逆です。

治療家が症例を書くと、
どうしても
「痛みが取れました」
「動けるようになりました」
「患者さんが驚きました」
という、うまくいった話が多くなります。

もちろん、そういう症例もたくさんあります。

でも現場は、
そんなに毎回きれいに終わるわけではありません。
今日は、そんなお話です。

60代男性。突然出てきた右臀部の痛み

今回の患者さんは、60代男性。
急に腰周辺が痛くなり、
特に右のお尻のあたりに強い痛みを感じるようになったとのことでした。

「何が原因なのか分からない」
「この痛みを何とかしたい」
そんな中でいろいろな治療院を探し、
当院を見つけて来院してくださいました。

まずはいつものように、
問診 → 検査 → 評価
を行います。

身体の状態。
痛みが出る動作。
左右差。
既往歴。
生活習慣。
必要なところをひとつずつ確認していきました。

その段階で僕自身は、
「これは1回で全部変わるタイプではなさそうだな」
と感じていました。

施術に入る前に「3〜5回くらいは経過をみたい」とお伝えしました

僕は基本的に、
「絶対1回で治ります」
とは言いません。

今回も、
身体の状態を確認したうえで、
「この状態であれば、おそらく1回で全部良くなるというより、3〜5回くらい経過を見ながら施術した方がいいと思います」
ということを、
施術に入る前にお伝えしました。

当然、
1回で大きく変わればそれが一番です。

でも、
身体の回復には個人差があります。
痛みが出てからの期間。
年齢。
身体の使い方。
睡眠。
食事。
ストレス。
これまでのケガ。
さまざまな条件が違います。

だから、
「何回で治る」
というものでもありません。

今回はこちらの見立てとして、
少し時間をかけて経過を見る必要がある、
と考えていました。

施術後の再検査。でも、正直大きな変化は出ませんでした

施術を行い、
その後に再検査をしました。
ここはいつも通りです。

施術前と比べてどうなのか。
動きは変わったのか。
痛みはどうなのか。
確認していきました。

正直に言うと、
患者さん自身が「これはすごく変わった」と感じるほどの大きな変化はありませんでした。

ここも現場です。
毎回、
「うわ、全然違う!」
となるわけではありません。

それでも、
僕の中では
「身体の状態を考えると、もう少し経過をみたい」
という判断でした。

そこで、
1週間ほど空けての来院をおすすめし、
翌週の予約を取って帰られました。

ところが2日後、「予約をキャンセルしたい」と連絡がありました

2日後。
患者さんから、
「予約をキャンセルしたい」
という連絡が入りました。
理由は特に書かれていませんでした。

そこで僕から、
「今後の院の運営や施術の参考にもさせていただきたいので、何か不都合な点や、施術が合わないと感じた点がありましたでしょうか?」
という旨をお聞きしました。

すると、
返ってきた理由は、

  • 1回の施術で改善や変化を感じられなかった
  • 自分が思っていた施術方法とは違っていた
  • その後、整形外科を受診して「坐骨神経痛」と言われた

というものでした。

「あぁ、こちらの説明と相手の受け取り方って、こんなに違うことがあるんだ」

これを読んだ時、
一番感じたのは、
怒りでもなく、
悔しさでもなく、
「伝えるって難しいな」
でした。

こちらとしては、
最初から、
「1回で全部良くなる状態ではないと思います」
とお伝えしたつもりでした。

でも患者さんとしては、
やっぱり、
「1回受けたら何かしら明確な変化が欲しい」
という期待があったのだと思います。

これ、
患者さん側が悪いわけでもないんです。
痛いから来ているわけですから。

当然、
「今日少しでも楽になりたい」
と思います。

こちらも、
できるならそうしたい。

でも、
身体って、そんなに毎回こちらの都合よく変わってくれるわけではありません。

我々が「痛みを取っている」と思いすぎないこと

ここは、
治療家として僕自身が大切にしているところです。

僕たち施術者が、
痛みを直接取り除いている
というより、
僕らにできることは、
その人の身体が回復しやすい環境を整えること
だと思っています。

身体のバランスを確認する。
動きづらい関節を整える。
筋肉の緊張を確認する。
腹部の状態を見る。
血流や呼吸に影響するような緊張を減らしていく。
必要なところに鍼をする。

でも、
最終的に回復していくのは、
患者さん自身の身体です。

人間には回復する力があります。
その回復力が働きやすいように、
僕らはサポートしている。
そういうイメージです。

1回で変わらないから「失敗」なのか?

ここも難しいところです。

もちろん、
施術後に変化が出なければ、
僕たちも、
「本当にこの評価でよかったのか?」
「まだ見落としているところはないか?」
と考えます。

だからこそ、
再検査をする。
そして次回、
もう一度評価する。
それを繰り返します。

ただ、
1回で大きな変化が出なかった=施術が間違っていた
とも限りません。

逆に、
1回で痛みがなくなった=根本的にすべて解決した
とも限りません。

身体はそんなに単純ではありません。

「坐骨神経痛と言われた」についても少しだけ

その後、整形外科で
「坐骨神経痛」
と言われたそうです。

坐骨神経痛という言葉は、
お尻から脚にかけて痛みやしびれが出る症状を表す時によく使われます。

ただ、
それだけで
「なぜその症状が出ているのか」
まで全部分かるわけではありません。
腰椎なのか。
筋肉なのか。
神経周囲なのか。
別の要因なのか。
そこはさらに評価が必要です。

なので、
「整形外科と治療院、どちらが正しいのか?」
という話でもありません。

それぞれ役割が違います。
必要であれば画像検査や医学的評価を受けることも大切です。

今回、僕自身も勉強になりました

今回、
患者さんは継続されませんでした。
だから、
「最終的に良くなった」
という話はありません。

でも、
これはこれで、
僕にとって大切な症例です。

こちらが伝えたつもりでも、
患者さんには伝わっていないことがある。

こちらが、
「数回経過を見たい」
と思っていても、
患者さんは、
「今日変わらなかった」
と感じている。

治療技術だけではなく、説明の技術も必要なんだ
と改めて感じました。

「何をするか」
だけではなく、
「なぜこれをするのか」
「今日はどこまでを目標にするのか」
「これからどんな経過を予想しているのか」
そこまで患者さんと共有する。

これも施術の一部なんだと思います。

うまくいった症例だけが「臨床」ではありません

SNSでもブログでも、
成功例は出しやすいです。
「1回で改善!」
「その場で痛みゼロ!」
その方が見栄えもいい。

でも、
現場では、
すぐ変わる人もいる。
時間が必要な人もいる。
途中で来なくなる人もいる。
こちらの考えが合わない人もいる。
患者さんが別の治療を選ぶこともある。
それも全部、臨床です。

むしろ、
そういう症例から学ぶことの方が多い時すらあります。

今日の格言です。

「1回で変わらない=全部ダメ!」
……ではないんです。

身体には、
身体の回復する時間があります。

そして僕たち治療家にも、
もっと上手く伝える努力が必要です。

1回で結果が出れば最高。
でも、
それだけを施術の価値にしてしまうと、
身体の本当の回復を見失ってしまうこともある。

今回、
患者さんは当院を選び続けることはありませんでした。

でも、
僕自身にとっては、
「治療とは何か」
「患者さんに伝えるとは何か」
をもう一度考えるきっかけになった症例でした。

これからも、
うまくいった症例だけではなく、
うまくいかなかったことも含めて、現場のリアルを伝えていきたいと思います。

※急な腰痛や臀部痛、脚への痛み・しびれには、腰椎疾患や神経障害など医療機関での評価が必要なケースがあります。強い筋力低下、感覚障害、排尿・排便異常、発熱、激しい夜間痛などがある場合には、速やかに医療機関を受診してください。

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